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NPO法人設立秘話/前編

~NPOメンバーリレーコラム vol.4~
『NPO法人設立までの軌跡』(前編)

NPO法人「シャイン・フォー・ユー」設立のきっかけとなった、2023年のイマヌエルオーケストラ日本公演。

タイ最大のスラム地区クロントイ地区に誕生した、スラムの子供たちのオーケストラによる日本公演です。


 まずは、イマヌエルオーケストラ日本公演SHINE FOR YOU企画の決定までの経緯を語らせてください。


 遡ること2017年、初めて聴いた彼らの演奏。誰もが知っている、ベートーベンの交響曲。第5番「運命」でした。






 思い返せば、出会った時から私の頭の中に、日本の皆様に彼らを紹介したいという思いの種が宿っていたようです。

自分だけの感動にしたくない、そんな思いでした。


 口にするようになったのは、2020〜21年のCovit-19の蔓延による非常事態宣言期間中でした。音楽活動の中断を余儀なくされている中、こんな時こそ音楽で人々を癒し勇気づけたいのに、という思いでいっぱいでした。

スラム地区で食料支援をしながら、イマヌエルオーケストラの当時の指揮者Varin Ativilai (トンさん)に、日本公演の夢を告げたのです。

後から聞いたのですが、その時は、トンさんは本気にしていなかったそうです(笑)


 翌年の2022年春、国境を越えた場合の隔離期間がなくなったのを機に、私は7月の日本行きを決断しました。何か、運命の力に押されるように、今しかないという思いで、航空チケットを予約したのでした。


 行き先は、東京、熊本、北海道。イマヌエルオーケストラ日本公演決定交渉のための日本縦断でした。成立するのか否か、ドキドキの2週間。公演は、翌年2023年の10月と設定していました。というのは、タイの学校は2学期制で、10月の1ヶ月がお休みになるからです。


 東京では、開催に繋がりそうな方々にお会いしましたが、中でも、かねてからの支援者の方々5名との食事会は、日本における法人団体の必要性を感じさせるミーティングとなりました。

現在の副理事長、その紹介者の方々との会でしたが、真剣に私の財団(タイ)の活動やイマヌエルオーケストラについて耳を傾けてくださいました。その時、課題をいただいたのが、日本における法人設立でした。日本での開催の場合、日本側においても個人のご協力及び企業の協賛を募るとすると、私個人の銀行口座では信用度に限界があり、まさに、法人設立は必須事項となりました。


 一旦、頭の片隅に法人設立をしまい、向かったのは私の故郷熊本でした。バンコクに20年も住んでいたチェリスト中川幸尚さんが、次の活動拠点を熊本に移していたのです。関西出身である彼が、まさか熊本に行くとは、信じられないことでした。イマヌエルオーケストラ熊本公演について、事前のオンラインミーティングで二つ返事だったのも驚きでしたが、幸先いい滑り出しでした。そして、ユースオーケストラ、音楽大学、地元の新聞社、国際交流会館など、開催にあたって必要であろうと思われる主なところのアポを事前にとってくださっていたのです。


 日本公演開催までに、多くの「奇跡」と呼んでいいようなことが起こっていますが、まず熊本にて最初の「渡りに船」的な奇跡が!


 熊本ユースオーケストラの団長さんと事務局長さんとの面談の日、緊張の面持ちでご自宅に伺いました。


 なんと、私が訪れる前に、関係者の方々と「そろそろ国際的なことがやりたいね。」と話してらっしゃったそうなのです。タイからイマヌエルオーケストラとの共演が実現したらこれこそ正に、「国際的」事業になります。心躍った瞬間でした。更に、私が益城町生まれだということを告げると、益城町文化会館での開催もいいね、とおっしゃったのです。団長さんは、実際の開催の時期(2023年)には退任されていましたが、その時点では益城文化会館の館長も兼ねておられました。

 また、すでに国際交流事業の経験をされているので、過去に受けておられた公益財団法人三井住友文化財団の助成金の申請まで申し出てくださったのです。

 このミーティングで、熊本公演がほぼ確定となり、会場もロケーション的に便利な熊本市内ではなく、益城町にある益城文化会館に決定となったのです。



 そして、北海道!

向かったのは、帯広市に隣接する人口4万4千人の音更町。まるで引き寄せられるように、そして奇跡を信じて「丸美ヶ丘温泉」を訪れたのでした。

 時は2018年に遡ります。北海道から、ジュニアオーケストラの指揮者でもあり、アジアの後進国における音楽支援をされている助乗慎一氏が、ある方の紹介で私を訪ねていらっしゃいました。イマヌエルオーケストラの指揮者に会いたいということでした。

 その後、イマヌエルの指揮者は、東京での支援者とのコンサートの折、北海道の助乗指揮者を訪れていた経緯で、ご縁があった北海道を、第一回目の日本公演の候補地に致しました。

 が、不思議なことが起こったのです。(少なくとも私にとっては)


助乗氏は、北海道で5つのジュニアオーケストラの指導をされています。

 (助乗氏Facebook→ https://www.facebook.com/sukesankakusan?mibextid=LQQJ4d)

 2021年、あるきっかけで、自分自身も広く発信をする必要性を感じ、崖から飛び降りる気持ちでフェイスブックライブ配信に挑戦したのです。当時のライブ配信の学びの友である後藤はるよさん、北海道音更町「丸美ヶ丘温泉」の若女将でした。一緒に学び、公に顔を晒す怖さを克服し、今では互いにお茶を飲む感覚でライブで発信をしています。そして、2人で夢を語る中、イマヌエルオーケストラ北海道公演も当然口にしたのですが、先にご紹介した助乗氏の指導されている5つのジュニアオーケストラの一つが音更町だったのです。にわかに、私の心の中に、音更町開催の夢が芽生えました。

 そしてその夢の実現は、いとも簡単に、助乗氏の口から出た言葉で、現実味を帯びてきました。


「開催するとしたら、音更町ですね」

期待していたことを、助乗氏から聞くことになるとは!


「でも、何故、音更町!?」という疑問が残ったままでした。(そのキーポイントになったのは「ゴジラ」だったのですが、謎解きは後ほど……)


 何度かのオンラインミーティングの後、北海道公演実現に向けて現地に向かう際、面談の場所としてその「丸美ヶ丘温泉」を指定されたのにもびっくりでした。若女将にご縁があり、そこに宿泊することは告げておりましたが、こちらから面談に出かけていくつもりでしたので。


 そして迎えた面談の日。





 その席には、音更町にあるジュニアオーケストラの団長の泉大喜氏と事務局長の芹澤小百合さん、そして指揮及び指導者の助乗慎一氏、温泉若女将の後藤はるよさん、現在のNPO法人シャインフォーユーの事務局長及び副理事長の堀川恵水、そして私の6名によるミーティングでした。


 気になる公演の行方ですが……


 熊本につづき、またもや「渡りに船」的なことが!

団長さんから出た言葉は、イマヌエルオーケストラ公演開催ありきの、そして「実現するには」の企画案でした。どうすれば、開催に漕ぎつけるかということを、その日までに思案して下さっていたようなのです。イマヌエルオーケストラの魅力を伝えたり、開催意義を伝えたるする手間が不要だったことに、肩透かしを食らったというか、安堵したというか、嬉しさで思わず心の中で「グッドサイン」


 その企画案というのは、毎年教育委員会で開催されている生涯学習フェスティバルにイマヌエルオーケストラ参画、そして、教育委員会が取り組んでいるSDGs学習の一環で、スラム街の子どもたちと音更町の子どもたちの交流により、アジアの実態を知るという学びの機会を持つ、というものでした。


 そして、5つのジュニアオーケストラから音更町を選んでくださったことで、北海道公演ひいては日本公演を盛り上げる大きな効果をもたらしました。その町は日本が誇る作曲家伊福部昭氏の故郷であり、

伊福部氏は、世界に知られている映画「ゴジラ」のテーマ音楽の作曲家でもあります。その町のジュニアオーケストラの団体名は、「伊福部昭記念ジュニアオーケストラ」。道の駅にはゴジラの銅像、会場となった音更町文化センターには伊福部氏の記念碑もあり、町を上げて尊敬する作曲家であることが感じられます。団長さんから、東京に帰る前に、是非、道の駅の「ゴジラ」の銅像の前で写真を撮って教育委員会への企画書に盛り込んでほしいと要請がありました。


 と言うわけで、これが「ゴジラ」の謎解きの答えだったのですが、次の日に、空港に向かう前に「道の駅」に向かったのはいうまでもありません。


 その折りに、「ここで、彼らの演奏も披露したい」という夢も2人で語りましたが、それも実際の公演時に叶うことになりました。


出張からバンコクに戻った後、堀川作成の企画案は、その「ゴジラ」効果もあったのでしょうか、教育委員会の方々の心を動かし、11月にはついに正式に決定となったのでした。



 かくして、熊本と北海道の2公演が決定したのですが、実は、日程が決まるまでにも、ハラハラドキドキがありました。しかしながら、詳しくは省きますが、まるでジグゾーパズルが埋まっていくように決まっていったのです。 


(後編に続く)

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