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楽器の寄贈

~NPOメンバーリレーコラム vol.1~
寄贈されたヴィオラ、ついにイマヌエルオーケストラのもとへ

 イマヌエルオーケストラが初来日を果たした2023年10月。東京公演をご覧いただいたヴィオラ奏者の李善銘(Li Shanming)様からお預かりしたものがありました。それは5本のヴァイオリンと2本のヴィオラ。実はLi様には公演中も弦に必要な松ヤニをお持ちいただいたり、切れてしまった弦の張替えに奔走してくださったり、本当にお世話になっていました。イマヌエルの子供たちの奏でる弦楽器を見て、「より良いものを使ってほしい」と7本もの楽器を寄贈くださったのです。そして、しっかりとメンテナンスが施されたこれらの楽器を、私たちNPOが大切に保管しておりました。 

 2月半ば。所用のためにバンコクに向かう私たち夫婦の手に、2本のヴィオラがありました。傷つけずに運べるだろうか?現地の通関で何か問題にならないだろうか?やや心配になりながら、万が一を想定して、これらの楽器が売り物ではなく、イマヌエルの子供たちに寄贈されたものであるという説明の書面を持ち、空港に向かいました。

 ヴィオラを背負い空港のカウンターに行くと、「タイで演奏をされるのですか?」と航空会社のスタッフが微笑みながら声をかけてきました。寄贈いただいた楽器をお届けするのだと伝えると、数名のスタッフも集まってこられ、プチプチはどこ?どうやって包めばよいかしら?などと楽しそうに対応してくれました。そしてチェックインを済ませると、「大切にしっかりとお預かりしますね」といううれしい言葉もいただきました。

 7時間後、タイのスワンナプーム空港では、スーツケース類とは別の場所でしっかりと保管されているヴィオラと再会。丁寧にプチプチで包まれ、FRAGILEの札もついて、待っていてくれました。税関も問題なく通過し、2本のヴィオラは私たちと一緒に無事タイ入国を果たすことができました。


 

 数日後、イマヌエルオーケストラの練習場のあるクロントイ・スラムに向かいました。初めてのスラムでした。予想に反して、そこはきれいに整えられていて、道行く人も少ない静かな場所でした。薄暗くなったころ、日本公演に参加した十数名のメンバーが一人、また一人と集まってきます。4か月しか経っていないのに、背がすごく伸びた男の子や髪型が変わった女の子など、その成長ぶりに目を見張りました。みんな目がキラキラと輝いていて笑顔です。加古川成子NPO理事長からヴィオラを贈呈し、来日中の写真集を一人ひとりに差し上げると、部屋中に響く大きな歓声が上がっていました。李様からいただいたヴィオラは、しっかりとイマヌエルオーケストラにお届けすることができました。


 記念撮影をし、帰り道が分からなくなった私たち夫婦を、数人のメンバーが広い道まで案内し、「反対側からタクシーを拾うと安く済むわよ」など丁寧に教えてくれました。みんな、ありがとう~!

 

 バンコク滞在中には、何回かイマヌエルオーケストラの演奏を聴く機会がありました。どれも、やはり心に響く音色でした。初めての日本を経験後、それぞれに持ち帰ったものはあったようです。もっともっと練習をして、プロの演奏家になりたい、という人、また絶対に日本に行きたい!と心に誓った人、中には、音楽以外で自分の可能性を試したいとこれまでと違う道を選んだ人もいたようです。そんな来日中の思い出をまとめた「作文集」もまもなく完成予定です。それぞれ進む道は違っても、音楽を通じて得られた道。そして、そうした道を子供たちが安心して歩んでいくために、私たちNPOはどんな支援活動をしていけばよいのか、考え、進んでいきたいと思いました。

 

 あらためて、これまでに皆さまからいただいたご支援にお礼を申し上げ、これからのますますのご支援・ご協力をお願いするとともに、楽器のプレゼントをしてくださった李様に心からの感謝の気持ちを示したいと思います。残る5本のヴァイオリンも、NPOスタッフがしっかりとお届けする予定です。

 

 2024年度も「音楽を通じた若者の支援」を目指し、諸活動を計画中です。アップデートはこのようにメルマガでもお知らせしていきます。引き続き、ご支援をいただきますよう、よろしくお願いいたします。



(コラム執筆:NPO法人シャイン・フォー・ユー 事業局・広報渉外局  松井亜起)

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